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心と体が整う「歩く」時間

静岡県在住 ノルディックウォーキングインストラクター               

住吉二美さん

ノルディックウォーキングに出会って

こんにちは、住吉二美と申します。静岡県富士市在住、現在61歳です。

私は、小さな時から身長が高く、担任に勧められたのがきっかけで、小学生から中学、高校、大学、社会人とバレーボール漬けの日々でしたが、仕事の都合で、運動が一切できなくなった時に、様々な不調が出始めたのです。これまで筋力で支えていたあちこちが、ガタガタと崩れ始めました。

とどめだったのは、自宅の新築で、重たいものを一人で持ち運んでいた時に、膝をひどく痛めてしまい、歩くことさえままならなくなりました。

そんなとき、母が「ノルディックウォーキングがいいんじゃない?」と勧めてくれたんです。それが、この世界に足を踏み入れるきっかけになりました。

はじめは半信半疑でしたが、少しづつ足も回復して、目の前にそびえる富士山や、足元に咲く草花を眺めながら歩くことで気持ちが明るくなっていくのを感じました。

最初の一歩と、のめり込む日々

私は元々何かにのめり込みやすい性格で、「いいかも」と思ったらすぐに行動します。ノルディックウォーキングも、気がついたらインストラクターを目指していました。身体が少しずつ動くようになってきて、自分の体調が改善されていくのがわかると、もっと深く学びたくなったんです。

ポールの使い方を習得していくなかで、「こんなにも全身が連動するのか」と驚きました。腕や肩甲骨、体幹の筋肉まで自然に使えるようになって、ただ歩くだけとはまったく違う爽快感がありました。

母からの勧めがなければ、今の私はなかったかもしれません。本当に感謝しています。

ノルディックウォーキングの魅力を伝えたい

ノルディックウォーキングは、北欧で生まれたスポーツで、元々はノルディックスキーの選手たちが夏場のトレーニングとして行っていたものです。スキーのストックのようなポールを使って全身を使って歩くことで、通常のウォーキングよりも消費カロリーが高く、効果的な運動になります。

私は、全日本ノルディック・ウォーク連盟で、2種類のウォーキングスタイルを学びました。一つは、ヨーロピアンスタイルといわれるフィンランドから伝わった原型ポールを使い、体を前に押し出しながら、大きな歩幅で歩く方法。自然と歩幅が広くなり、ウォーキング以上の運動効果が期待できます。

もう一つは、ジャパニーズスタイルと呼ばれるポールで、手でポールを前へ突くように押し出すスタイル、ポールウォーキングなどと総称されますが、足腰に不安のある方や、体力虚弱の方に、安心して運動を楽しんでいただける方法です。その日の体調や目的に合わせてポールや歩き方を変えられるのも、この運動の魅力です。

参加者の中には、「歩くだけなのに、汗がにじむ」と驚かれる方もいます。手軽に始められるのに、しっかりと体を動かせる。精神的負担は、軽くても運動強度は上げることも可能なことが、ノルディックウォーキングの最大の魅力かもしれません。

私自身の健康のために

私は50歳のときに更年期に入り、体調がガクッと落ち込みました。ホットフラッシュや不眠、体重の急激な減少、精神的な不安も重なり、いろいろな病院に通いました。耳鼻科、内科、メンタルクリニックまで…本当にたくさんの不調を経験しました。

その時期に痛感したのが、「自分の体は自分で整えるしかない」ということです。医療も大切ですが、日常の中での運動や栄養、睡眠といったセルフケアの大切さを身をもって学びました。

ノルディックウォーキングは、私にとって“歩く療法”でもあるんです。歩くことで気持ちが前向きになり、夜もぐっすり眠れるようになりました。体力も戻ってきて、体のバランスも良くなってきた実感があります。

インストラクターとしての道

インストラクターとして活動を始めたときは、サークルを作りました。指導経験を積むために、三年間、地道に続けていました。その後、クラブとして発足し、現在は個人事業主として3年目になります。

活動の中で大変だったことは、最初にしっかりと事業計画を立てなかったために、途中で見直す必要が出てきたことです。そのときに生徒さんから戸惑いの声が上がることもありました。

でも、生徒さんたちは本当に温かく、怪我をして実際に歩きながら、指導できない時も「先生はそこにいてくれるだけでいい」励ましの言葉をもらい、救われてきました。

また、個々の歩く力には個人差があります。総ての参加者に時間内でしっかり動けた、スッキリしたという満足感を持って帰ってもらえるように、音楽を取り入れた子供から大人まで楽しめるエクササイズも導入しています。

教育の現場での経験を活かして

私は教員免許を持っており、かつては18年間、公務員として学校教育や社会教育、文化施設などに携わってきました。今も週に1日、発達に凸凹のある子どもたちのための放課後等デイサービスに勤務しています。

人と関わる仕事が好きですし、自身の体調管理のために学んできたことが、誰かのお役に立てたり、元気になってもらえることにやりがいを感じています。クラブを通じて、「遠くの親戚より近くの他人」ではありませんが、一緒に歩く(寄り添う)ことで、健康づくりと社会参加(誰かを支えている自分と、支えてもらっている自分という、参加者相互の繋がり)ができる活動を広めています。何よりも心のつながりを大切に。

地域とのつながり、これからの展望

私の住む静岡県は、世界の人々も訪れる富士山や、気候も含めて自然にとても恵まれています。この豊かな自然を活かしたリトリートも企画しています。日常から少し離れて、体を動かすと心も体もリフレッシュできますから。

また、自然の中を歩くことで人との距離が縮まりやすいという特性を活かして、婚活イベントとのコラボなどもできたらとここに言語化しておきたいと思います。(誰かの目に留まることを願い)健康と出会い、両方をサポートできたら素敵です。

医療機関や製薬会社との連携にも関心があり、骨粗鬆症や呼吸器疾患のリハビリにもこの運動は有効です。以前、地元の内科の先生と連携して、喘息患者さんのためのノルディックウォーキング教室も開催しました。

健康寿命を伸ばす社会の一助になれたらと、日々感じています。

未来への夢

「ノルディックウォーキング」という健康ウォーキングの認知度アップも図り、後進の育成にも努めたいです。

そのためには、まず知ってもらう事に力を注ぎます。

ノルディックウォーキングといえば、「2本のポールを持って歩く運動ね」と言われるくらいに介護予防だけではない視点も育てたいです。

「あなたの街へ出張レッスン」と、キャンピングカーで回れたらと思います。

これから何かを始めたい方へ

「もう年だから」と諦めないでください。運動は、いつからでも始められます。

私自身、怪我や更年期、体調不良などいろいろな困難がありました。でも、歩くことで少しずつ体が整い、心も前向きになりました。

自分に合ったペースで、無理なく始めることが何より大切です。地域の支援やネットワークを活用しながら、情報を集めて、まずは一歩を踏み出してみてください。

そして何より、楽しむことを忘れないでください。仲間と一緒に歩きながら笑い合う時間は、心にとっても大きな栄養になります。

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ふみさんのお話から、「歩く」ことは体を動かす効果だけじゃなく、人生の一歩を進める力があると感じました。何歳になっても自分の足で歩ける喜び、たくさんの人に知っていただきたいと思いました。

インタビュー:きたじまあいこ