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時代の流れに流され迷走。そこから見つけた本当の自分

2008年、父の急逝をきっかけに母と共にカウンセリングを学び始めました。

神奈川県在住

アーティスト 月丘泉さん

当時は「キラキラブランディング」や「起業女子」といったブームの真っ只中で、その流れに乗って、資格を活かしカウンセラーとしての活動を始めました。しかしながら、自分自身がどこか迷走していたことに気づきました。

起業について学んだり、ファッションコンサルとしても活動していましたが、結局のところ、私は流されてしまっていたのだと気づいたのです。

「このままでいいのかな?」と自問し、生活を立て直すために早朝から働くことを始めました。そこから朝型の生活になり、毎朝しっかり起きて朝日を浴びることで、徐々に心が整い、「自分が本当にやりたいことをやればいい」という思いが芽生えてきました。

現在は、自分でジュエリーを制作し販売しています。制作の工程は、私にとって自分と向き合う大切な時間です。ご依頼くださった方の想いや希望に心を寄せ、私が感じたことをジュエリーに込めています。その方が羽ばたき、輝けるようなジュエリーを心を込めてお作りしています。

今に至るまで、たくさん迷走してきました。

幼いころからしっかりとした体型だったため、「着やせ」は私にとって一種のライフワークでした。理論を学んで自分なりに納得した部分もありましたが、その理論に縛られてしまう方もいることに気づきました。

私は、診断がしたいわけでも、その理論を伝えたいわけでもないことに気づいたのです。知識としては大変役に立ちましたが、「では、自分としてはどうなの?」「あなた自身はどうしたいの?」という問いが心に浮かびました。

表現することが私の生きがいですから、本当に伝えたいもの、表現したいことを表に出してあげたいと思いました。

「カラー診断をしますよ」「骨格診断をしますよ」ではなく、「どうなりたいか」を一緒に見つけ、その理想をもとに洋服や色、素材などをご提案していくスタイルを大切にしています。

断捨離をして心を整理し、自分で洋服を選び、着こなせるようになること。誰かに選んでもらった服で褒められるより、自分で選んだ服で褒められることのほうが、自信にもつながり、心からの喜びになるのだと思っています。

「ジュエリーを創っています」という一言が、大切なきっかけに。

私に興味を持っていただくきっかけは何かと考えたとき、「ジュエリーを創っています」と伝えることで、その方の悩みや想いを聞かせていただけることがあります。そこから必要に応じて、ファッションコンサルやカウンセリング、ジュエリー制作へと自然につながっていくのです。

自分に興味を持っていただけること、そしてそこから必要とされる方々へ想いが届いていくことに、今は心から感謝しています。

人の存在の大きさを初めて感じたことから生まれた母への想い

36歳の時、父が他界いたしました。両親は秋田県出身で、親戚とも頻繁に会う環境ではなかったため、身近な人の死を経験するのは初めてのことでした。そのときの衝撃はとても大きく、家の中が静まり返ったように感じました。普段、言葉を交わさずとも、父の存在がいかに大きかったかを痛感いたしました。

それ以来、母と二人での生活が始まり、「母より先にこの世を去るわけにはいかない」と強く思うようになりました。私は結婚もしておらず、子どももいません。そんな私ができる親孝行とは何だろうと考えたとき、その答えが「母より先に旅立たないこと」だったのです。

父が亡くなった当時、母はまだ若かったため、自らカウンセリングを受けて心を立て直すことができました。しかし今、同じ状況になったとしたら、どれほど辛く悲しい気持ちになるのか…想像もつきません。

だからこそ、私が母よりも先に旅立つことは、親不孝そのもの。どんなことがあっても、それだけは避けなければならないと強く思っています。ある意味、それは私の“意地”であり、せめてもの親孝行なのです。

父の死を通して感じたこと、そこから始まった学びや転機は、私にとって人生の大きな財産となりました。人の存在の大きさ、そしてその尊さを心から感じています。

自分の中の自分と会話することが整えるコツ

私は心や体の不安定さをあまり感じることがありません。もしかしたら、少しタフなのかもしれませんが、特別にストレスケアをしているわけでもありません。

イライラすることもありますが、そんな時はとにかく寝ます。話せる人がいれば話すこともありますが、どこかで「そんなことを言うのはカッコ悪い」と思ってしまう自分がいます。

だから、私は自分の中で考えて、考えて、考え抜いて、疲れたら寝る。そうしてリセットしています。

同じことをぐるぐる考え続けていると、思考のループにはまってしまいます。そのことに気づいたら、寝る。人のせいにしても、その人がどうにかしてくれるわけではありませんし、結局は自分で自分を責めてしまいます。

そうなると辛くなるだけですから、「もうやめよう」と切り替えるタイミングが自分の中にあります。

私の中には、まるで天使と悪魔のように、何人もの“私”がいて、「ここがダメじゃん」「でも、ここは良かったよね」「どうすれば良かったんだろう」と、脳内会議を繰り広げています。

カウンセリングを学んだことで、自分の心の声を無視せず、しっかりと向き合う習慣が身についたのだと思います。

羞恥心を手放し、全力で伝えたい

今の私の課題は、「羞恥心」との向き合い方です。

歌うことがとても好きで、一人で部屋にこもっているときは、そのアーティストになりきって思いっきり歌えます。でも、人前でとなると、なかなか思うようにはできません。

ノリが悪いことは自覚していますが、本当はもっと自分を表現したいのに、それができない自分がもどかしいのです。

周りの人は「大丈夫だから、やってみて」と励ましてくれますが、私はその言葉を完全に信じきれていない自分がいます。プライドの高さも関係していると思いますが、どこまで羞恥心を手放せるかが、大きなカギだと感じています。

「楽しみたいなら、やればいい」。そう思いながらも、踏み出せない。でも、もしそれができるようになったら、人との新しい信頼関係も築けるようになる気がしています。

表現したいことがあるのに、それを出せないままでは本当の自分とは言えません。羞恥心を乗り越えた先に、本来の自分がいる。そんな気がするのです。

創ることにも同じことが言えます。「こんな人に身につけてほしい」と思っても、それを表現しきれなければ届きません。

「一番になりたい」と思う一方で、自信が持てない。そんな私のことを、身近な人たちは理解してくれています。

だからこそ、最初から「できない自分」も出していきたい。おしゃれをしていても、完璧ではないし、うまくできないこともある。でも、そこから少しずつ成長して、「ここまで上達した私を見て、勇気をもってもらえたら」と願っています。

羞恥心を捨てることは、きっとそういうことなのだと思います。

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~インタビューを終えて~

自分を全力で表現することこそが、自分らしくあること。その想いが、心の奥底から湧き上がるエネルギーとして感じられたインタビューでした。

そして、それは私自身だけでなく、私のもとを訪れてくださる方々にも「その人らしさ」を全力で表現していただけるようサポートしたい、という強い気持ちにもつながっています。

取材:なかはら ひろえ