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植物由来エクソソームが切り拓く未来

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株式会社ジャパン・オーガニック・イールド               

取締役 丹藤信平さん

〜植物由来エクソソームとは?〜

植物由来エクソソームとは、植物の細胞から分泌される成分の一種で、マイクロRNAやたんぱく質などの生体情報を、他の細胞に伝達する役割を担っています。従来は動物由来やヒト由来のエクソソームが研究対象とされてきましたが、植物にも同様の機能があることが明らかとなり、近年その活用が急速に注目されています。特に、廃棄されていた植物部位(葉や茎、果皮など)からこれを抽出することで、環境負荷の少ない新たな健康・美容素材としての可能性が広がっています。

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「捨てられるものにこそ価値がある」

――まず、植物由来エクソソームを開発するきっかけについて教えてください。

私たちが作っているのは、全く新しい植物のエクソソーム原料です。でも、最初から「植物エクソソームの原料です」と言っても、世の中にはその製品が存在していませんでした。ないものをいきなり採用する人はいません。だからまずは自社で製品を作って、実際に飲んでもらったり使ってもらったりして、広げていく。そういう戦略をとっています。製品を手にとって初めて「これはすごい」と理解してもらえるような、そんな体験型のアプローチです。

「ボタニカル革命」は日本の生き残る道

最初は「メディカルとビューティーの革命」という広いビジョンだったんですが、あまりに広すぎて。なんでもありになってしまった。そこで「植物」に焦点を絞りました。そして生まれたのが「ボタニカル革命」です。

植物からエクソソームを作る。しかも、普通の植物ではなくて、捨てられているようなアップサイクル資源を使う。たとえば、ドラゴンフルーツの皮とか、バナナの茎や葉とか。今まで捨てられていたものを使うことで、リーズナブルで高品質のエクソソーム原料を作り出し、農業や環境、そして健康や美容の世界にも革命を起こすんです。

たとえばバナナの話をしましょう。あれは実を収穫した後、茎も葉もすべて燃やして捨ててしまうんです。農業の現場にはものすごい量の未利用資源がある。でも、それを原料にエクソソームを取り出せば、全く新しい価値が生まれます。いわば、ゴミだったものが宝物に変わる。それがこの事業の本質です。

日本には世界に通用する植物資源がある

日本って本当に植物の多様性が豊かなんですよ。北海道から沖縄まで多種多様な植物があり、雑草のように見えるものにも価値がある。でもそれが活用されていない。特に里山や離島などでは、優れた植物資源が眠っています。里山には、四季折々の多種多様な植物が自生し、それぞれに薬効や保湿成分などの可能性が秘められています。にもかかわらず、その多くは雑草扱いされ、活用されていません。一方、離島では人口減少や高齢化が進む中で、地域の活力が失われつつあります。これらの地域で植物を活用した産業を興すことができれば、雇用創出や経済の自立につながり、里山や離島が再び輝きを取り戻すと考えています。そこに光を当てたい。地方創生の鍵になると私は信じています。

信仰が導いた企業理念「喜びの創造」

うちは「ジャパンオーガニックイールド(JOY)」という社名なんですが、「JOY(喜び)」という言葉を大切にしています。これは新約聖書の第一テサロニケ5章16〜18節、「いつも喜んでいなさい」に基づいています。

ただの幸せじゃなくて、社会を変えるような「喜び」を創造する。それがこの会社の目的です。会社を立ち上げたのも、ゴスペルを歌っていた時にインスピレーションを得たからなんです。

世界へ広げたい“地産地消の植物工場”

今後は、日本国内だけでなく、アジアやアフリカにも展開していきたいと思っています。たとえば、ミャンマーやスリランカなど、農業が主力だけど収益が上がらない国に、現地の植物を使った工場を作る。そしてその地域の人たちに仕事を生み出し、子どもたちが学校に行けるようになる。そういう循環を作っていきたいんです。

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ヘアケア・スキンケアで見せる“本物の効果”

私たちの製品は、ただリーズナブルで植物由来というだけではありません。実際に効果があります。たとえば、ドラゴンフルーツ由来のエクソソームを使ったヘアケアでは、白髪が目立たなくなったり、髪質が変わったりという変化が報告されています。写真でも比較すると、2ヶ月で見違えるような結果が出ているんです。

また、シマアザミ由来のエクソソーム飲料をアトピー性皮膚炎のある方が飲用して、痒みが軽減したというケースもあります。これらは100%植物由来だからこそ、安心して使用できるという点も大きなポイントです。

世界を変える“インターキングダムコミュニケーション”

植物にも情報伝達物質であるエクソソームがあり、それがヒトの細胞とやり取りできるという研究が、今、世界中で注目されています。「インターキングダムコミュニケーション」──つまり、生物の垣根を越えた情報交換です。

2024年のノーベル医学・生理学賞で注目されたマイクロRNAも、2023年にノーベル医学・生理学賞を受賞したメッセンジャーRNAも、実はエクソソームに包まれて運ばれているんです。エクソソームがなければ情報は伝達されない。これはまさに未来の医療や健康の基盤になりうる発見です。

「すべての人がWinになるビジネスモデル」

私たちのビジネスは、農家さん、工場、地域、販売者、そして消費者、全員がWinになる仕組みを目指しています。捨てられるはずだった資源を活かし、高品質な製品を作ることで、経済も環境も両立できる。これがボタニカル革命の核心です。

――今日はありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。まだ発信力が足りない部分もありますが、少しずつでも世界に届けていきたいと思っています。

取材:きたじまあいこ