
50代からの挑戦──自分らしく、ウェブの世界へ
西秋恭子さんは50代でウェブ制作の世界へと飛び込み、現在ではオンラインスクール運営やSNSの運用代行など、多岐にわたる活動を展開しています。専業主婦からの転身、そして体調不良を乗り越えての再スタート。そんな恭子さんの歩みは、同世代の女性たちにとって大きな勇気とヒントを与えてくれます。
東京都在住
WEBクリエイター 西秋恭子さん

47歳、「好き」を原動力に始めた花の教室
「子どもが幼稚園に通うようになってから、ずっと夫の自営業を手伝ってきました。でも47歳の頃、ふと『自分で何かやりたい』と思うようになって。昔からお花が好きだったので、プリザーブドフラワーのアレンジメントを教える仕事を始めました」
思い立ったらすぐ行動。教室に通って資格を取得し、自身の教室を開くまでにそう時間はかからなかったといいます。その時代、アメブロが主な集客手段で、彼女も日々ブログを更新していました。
「どうやったらもっと知ってもらえるのか、常に考えていた時期ですね。写真をどう撮るか、どんな文章を書けばいいか、手探りでやっていました」

ホームページ制作との出会い
「教室の先生から『ホームページもあった方がいい』と言われて、制作会社 に作ってもらったんです。でも、ちょっとした変更にも費用がかかって、しかも対応が遅い。それがストレスで……」
自分で作るしかない。そんな発想からWordPressの講座に参加しますが、最初はまったく理解できず、何度も挫折と再挑戦を繰り返します。「聞いてもわからない、でも知りたい、できるようになりたい、って思いがずっとありました」
「自分が更新したい時にすぐに反映できないのは本当に歯がゆかったですね。だから『じゃあ、自分でやってみよう』って決めたんです」
そうした試行錯誤の末、「ある日、ふと繋がったんです」。点だった知識が線になり、面白さが広がった瞬間だったといいます。

「作る楽しさ」に目覚めて
ホームページ制作のスキルを習得してからは、自分のサイトだけでなく、起業仲間からも制作を依頼されるようになります。「『自分も作ってほしい』と声をかけてもらって、そこからどんどん広がっていきました」
「気づいたらお花の教室よりも、ホームページ制作の方が楽しくなっていて。結局、お花の仕事は体調不良もあって辞めてしまいました」
更年期の影響で心身のバランスを崩したことが、転機となったといいます。「全部辞めた時期もありました。でも、Facebookで頑張っている同世代を見て、また始めたいって思ったんです」
「見ていると、自分だけじゃないんだって思えて。じゃあもう一回やってみよう、って」
「バレエ教室のホームページを作った時、先生が『すごく問い合わせが増えた』って言ってくれて。そういう結果を聞くと、本当にこの仕事をやってよかったなって思います」

オンラインスクールへの転換
コロナ禍で対面講座が難しくなり、準備していた講座をオンラインに切り替えました。「正直どうやってオンラインでやるかも分からなかったけど、とにかく始めてみた。結果、全国各地から受講者が集まって、今では50人以上に教えてきました」
「地方の方や外出が難しい方でも学べる。それがすごくいいなと思って」
現在では、60代以上の受講者も珍しくなく、「パソコンが爆発するんじゃないかと怖がっていた方が、立派なホームページを作った」というエピソードもあるほど。「自分の経験が誰かの勇気につながるのが、本当に嬉しいんです」
「受講者の中には、教室を開くことを目指して受講される方もいて、そういう人たちが実際に行動を起こしているのを見ると、私も励みになります」

ホームページ制作の魅力
「形が残るのが嬉しい。自分で作れたっていう達成感は、何にも代えがたいです。事業をするなら、SNSとセットでホームページを持つのは本当に大切で両輪で進めるのが理想だと思います」
「SNSだけでは不安定。でも、ホームページがあると軸ができる。安心して紹介できる場所があるのは、信頼にもつながります」

50代からの挑戦は遅くない
「始めるのに遅いなんてことはない。40代でも、50代でも、70代でも。『やりたい』と思ったその気持ちを大事に、一歩踏み出してみてほしい」
「人生の終わりに、『やりたかったな』じゃなくて、『やってよかったな』と思いたい。そのために、今できることを一歩ずつやっていくだけです」
息子さんの変化
「パソコンを初めて触ったのは、お花の教室を始めた頃。自分のブログをアメブロで書こうと思って、パソコンを買ったんです。当時、高校生だった息子に手取り足取り、いちからわっていました」
「でも今では、そんな私がオンラインスクールを開いているんだから、息子も驚いていて。『お母さん、すごい』って言ってもらえるようになったのは、本当に嬉しいですね」

同世代へのメッセージ
「やりたいと思ったら、その瞬間を逃さないでほしい。怖くても、完璧じゃなくても、一歩踏み出すことで見えてくる世界があるんです」
「私もパソコンなんて全然ダメだったし、息子からも『お母さんさんすごい』って言われるようになったんです」
「『私でもできるかな?』じゃなくて、『やってみよう』でいいと思う。できるかできないかじゃなくて、やるかやらないか。私はそう思います」
「自分の人生を誰かに委ねるんじゃなくて、自分で選ぶ。その小さな積み重ねが、いつか大きな自信になってくれるはずです」
恭子さんの言葉は、今まさに何かを始めたいと思っている女性たちにとって、背中を押してくれる力強いメッセージです。
取材 きたじまあいこ