
神奈川県在住
黄土よもぎ蒸し心と身体の温活セラピスト
金澤朋子さん
介護からサロンオーナーへ。40代で決めた“本当にやりたいこと”
「最初は保育士としてスタートしました。その後、祖母の介護をきっかけに介護の世界に入ったんです」と語る朋子さん。施設での介護職、訪問介護の責任者など、約17年間にわたり人のケアに携わってきました。
そんな朋子さんが、40代で大きな決断をします。それが、自宅での黄土よもぎ蒸しサロンの開業でした。
「ずっと“自宅で何かをしたい”という思いがあったんです。でも、子どもが小さかったことや経済的な不安があって、なかなか一歩を踏み出せませんでした。そんな時に出会ったのがよもぎ蒸しでした。」
初めて体験した黄土よもぎ蒸しの温かさと癒しの力に心を打たれた朋子さんは、「これを自宅で、そして誰かのために役立てたい」と思うようになりました。ちょうどその頃、新居の購入も決まっていたことから、「ここでならサロンができる」と直感し、行動に移したそうです。
「実は、夫には最初あまり相談せずに、ひとりで盛り上がっていました(笑)」
そのエピソードからも、朋子さんの行動力と“やりたいことに対する素直な気持ち”が伝わってきます。
“いいものを届けたい”という信念

朋子さんが選んだよもぎ蒸しのセットは、こだわりの漢方素材を使用した本格仕様でした。安価なものもあった中で、なぜ高価なセットを選んだのでしょうか?
「自分が実際に体験して『これはいい』と感じたものを、お客様にも届けたいと思ったんです。安いものもたくさんありましたが、自分が使って納得できるものでなければ提供したくないという気持ちが強かったんです」
その姿勢には、長年人と向き合う仕事をしてきた朋子さんならではの“誠実さ”がにじみ出ています。「お客様にお金をいただく以上、自分が心から信頼できるものを使いたい」。そんな真摯な想いが、サロンを訪れる人たちの信頼を育てているのです。
60代女性の変化が教えてくれた、サロンの力

これまでに60名以上の方が朋子さんのサロンを訪れています。その中でも、特に印象的だったのが、60代の女性との出会いでした。
「その方はダイエット目的で通ってくださったんです。健康診断で医師から減量を勧められていて、どうにか健康的に痩せたいと相談を受けました」
通い始めて1年後、その女性はなんと12キロの減量に成功。その後も体重をキープし、健康状態も改善されたといいます。
「よもぎ蒸しだけではなく、ご本人の努力も本当に素晴らしかったです。ご自宅でも運動されたり、食事にも気を配っていらっしゃいました。でも、何よりも大きかったのは、“自分にはできない”という思い込みを手放せたことだと思います」
朋子さんは、施術だけでなく、その人の気持ちの変化にも丁寧に寄り添ってきました。目に見える変化だけでなく、内面の変化もサロンの大切な成果の一つなのです。
支え合いながら前へ──“ひとりサロン”は、ひとりじゃない
「自宅サロンって、一人で全部やらなきゃいけないって思われがちなんです。でも、実際はたくさんの人の支えがあってここまで来られました」
不安に押しつぶされそうになったとき、思い出すのは「なぜ始めたのか」という原点の気持ち。そして、家族やお客様、仲間たちの存在です。
「私一人ではできなかったことも、話を聞いてくれる友人や、励ましてくれるお客様、支えてくれる家族のおかげで乗り越えられたと思います」
“自宅サロン=孤独な戦い”ではない。むしろ、「やりたい」と声に出すことで、サポートしてくれる人は自然と集まってくる。それが朋子さんの体験からの確信です。
「だから、もし今“やってみたい”と思っている人がいたら、まずはその気持ちを誰かに話してみてください。必ず応援してくれる人がいます」
50代、60代、その先へ──未来の夢

「これから先は、“居場所”をつくりたいんです」
そう語る朋子さんの次なる夢は、年齢や立場を越えて人が集まり、安心して過ごせる拠点を持つことです。自宅の一室ではなく、もっと多くの人が集まれる一軒家のような空間。そこではよもぎ蒸しだけでなく、親子向けの講座や高齢者とのふれあい、そして女性たちが自分らしくいられる場を提供していきたいと考えています。
「子どもたちと高齢者が交流できたり、働くママがホッとできたりする場所をつくれたら。行くだけで元気になれるような、あったかい空間が理想です」
自宅サロン開業を通して感じた想い

「やりたいことがあるなら、ひとりで頑張らなくていいんです。できないことは、できる人にお願いすればいい。そうやって一歩ずつ、自分の夢を形にしていけばいいんです」
朋子さんの言葉は、肩の力をふっと抜いてくれるような優しさにあふれています。彼女の生き方そのものが、私たちに「自分らしく、助け合いながら生きること」の大切さを教えてくれます。
夢を語ること。声に出すこと。誰かに頼ること。そして、自分自身を信じること。そのすべてが、あなたの“やりたい”を叶える力になるのです。
取材:きたじまあいこ